今回は非常に固めのコラムです。苦手な方はご注意ください。

口調も論説文風にしてみました。ご了承下さい。

2020/02/07 10:15 暫定版・公開
2020/02/07 15:42 暫定版2・公開(本文の文字の大きさ、色などをつけました。)
2020/02/10 13:39 暫定版3・公開(本文の追記修正・参考サイトへのリンク追加など)
2020/02/10 15:17 正規版V1.0 公開!!


ブシロードの家虎根絶宣言・マナー向上への提案

otaku_otagei


あらかじめ話しておく。
『未然に防ぐ、その努力をする事が何よりも大切』

数日前のブシロードの木谷高明氏の発言が、大きな反響を呼んだ。

Screenshot_20200207-094040

*木谷高明氏のツイート画面を引用させていただきました。

家虎とは?
イエッタイガーと読む。
悪質な(自称)ファンが曲の間などに勝手に挟む掛け声の事。
本来意図しない行為なので、雑音、迷惑行為とされる。

これには非常に賞賛の声も多かった。
ライブで迷惑をかける人を排除するという宣言を、心強いと思った人たちも多い。

たしかに、そうやって迷惑をかける人を排除して、ブラックリスト入りさせるという考えは正しいと思う。
どうしようもないと判断したら、そうせざるを得なくなる。

だが、それはブシロード側の『勝ち』ではない。

現実は『負け』の反対に『勝ち』があるとは限らない。


必要なのは『覚悟』

ゲームやスポーツの試合の中だったら『勝ち』の反対に『負け』がある。勝ち負けがつかなかったら『引き分け』である。


迷惑をかける人を退出させ、ブラックリストに掲載することは、一見すると迷惑をかける側は追い出されたので『負け』、追い出した側は『勝ち』の様に思える。
それでイベント環境が良くなるならブシロード側の『勝ち』の様に思える。

しかし現実では『負け』の反対が『勝ち』とはかぎらない。『引き分け』になるとも限らない。
『双方勝ち』というケースもあるし『双方負け』というケースもある。

ブラックリスト入りははあくまで『最終手段』でなければならない。

その『最終手段』を発動してしまった。

言い換えればブシロード側の『負け』である。

ブラックリスト入りしたから『勝ち』というわけではない。
現実は、特撮ヒーロー物とは違い『悪者を始末したから勝利』という図式が成り立つとは限らない。

『最終手段』を発動させないように、全力を尽くさなければならない。


『負け』を認めないのなら『覚悟』がない。

将棋の名棋士・羽生善治さんだって、3割は負けている。
羽生さんに限らず、将棋においては負けと思ったら『参りました』と言い、負けを認める。負けを認めなければ、最終的には自分の玉まで取られてしまうことになる。しかしそれは非常にみっともない事とされているし、それは見かけない。いかなる棋士も、玉を取られる前に『負けを認める』。この『負けを認める』行為も、将棋を通じて教育する事において大事だとされている。
そして負けた棋士も勝った棋士も『感想戦』を行い、どんな手が良くて、どんな手が悪かったかを学び、強くなっていく。
どんな棋士も負けを受け入れ、そこから学ぶから、さらに強くなっていく。

『負け』を認めるからこそ、成長する。

かといって『負けることが好き』な人間はまずいない。誰だって『負けたくない』。
負けない為、勝つために全力を尽くす。

『負けない為』には、何をすればいいのか。


ietora


木谷高明氏も『それ以前に予防すること』を宣言してくれた。


やむなく迷惑をかける参加者を退出させざるを得なくなった。きっと内心は彼も悔しかった事だろう。

やはり『未然に防ぐ』事を達成してこそ『勝ち』なのである。


逸脱した行動を取ることを『未然に防ぐ』事をして、退出・ブラックリスト入りを『予防』し、真の勝利…みんなで仲良く、マナー良く楽しめるイベント・ライブにするためには何をすればいいのか。

ただ口で『何々をしてはいけないよ』というだけで成功したら、苦労はしない。

様々なメソッド、心理学、脳科学など、考えうるあらゆる可能性をもってして『覚悟』を持って取り組まなければならない。

ライブイベントに限らず、普段の時でも使えそうなメソッド。

ここにいくつか(筆者自身の考案も含めた)メソッドや理論を提案してみる。

これらの方法が、実際にどれだけの効果があるかは未知数だと思っている。
効果は抜群かもしれないし、効果はいまひとつかもしれない。ほとんど効果がないという可能性も否定はできない。すぐに効果が現れるかも知れないし、効果が出るまで年単位かかるかもしれない。

しかし『やろうとする気持ち』が大切なのである。

『未然に防ごう』という気概と覚悟が大切なのである。


ここからが『具体的な方法の提案』となる。

今回はブシロードの運営の単位でもできる事、やるべき事をまとめてみた。
他のイベント関係者の皆様にも聞いて欲しい。

『菊池省三メソッド』(*1)

菊池省三・元小学校教師
過去20年で、学級崩壊したクラスを次々と立て直してきた実績がある。

その方法は体罰でも、物的な報酬でもない。

学級崩壊したクラスを立て直すにあたって、生徒たちが

『なぜ、他人をいじめたり、逸脱した行動に走ったりするのか』

それは

『自分に自信がないから』

どうせ自分は…と思うから、他人をいじめたり、反抗的になったり、逸脱した行動をとったりする。

自分に自信がないことは、逸脱した行動を取ったり、他人に迷惑をかける行為につながってしまう。

つまり、逸脱した行動をやめさせ、ブラックリスト入りを未然に止める為にはどうすればいいのか。

それは

『自分に自信をつけさせる』

この事を軸に行動することである。

具体的には何をすればいいのか。


菊池省三メソッド1・『相手を褒める事』

ささいな事でも、褒める。

褒めることによって『自分に自信をつけさせる』。

些細なことでも褒めたり、『ありがとうございます』など、一言声をかける。少なくとも『OK』や『GOOD』など、正しい行動をとったら、その事を肯定する。(この時、顔も笑顔で)
(特に行動を褒める事が、脳科学において重要な事らしい。結果や人を褒めると、失敗するケースもある。)

褒められた相手はそれによって、脳の前頭前野が活性化する。

その事で、きちんとした判断を促し、逸脱した行動を防ぐことにも繋がる。
(褒める側も脳の活性化の効果があるらしい。)
イベント外の普段の時でも広報やブログ等を活用し、『褒める』習慣をつけるのもいいと思う。
イベント内に限らず、日頃からのマナー向上に役にたつと思われる。

菊池省三メソッド2・『良い言葉を増やし、悪い言葉を減らす』

学級崩壊を予防するために菊池省三氏が取り入れたメソッド。
良い言葉を増やし、悪い言葉を減らすことで、クラスや場所の雰囲気を良くしていく。『割れ窓理論』効果(後述)も関係している。
このメソッドを、イベント会場でも取り入れてみる。
良い言葉は、『ありがとう』『がんばれ』『大丈夫』『お疲れさま』など。
(『ご苦労様』は、目上の人に使うと失礼な言葉になる。気にしない人もいると思うが、『お疲れさま』がいいと思う。)
悪い言葉は、(特にこの手のイベント、及び参加者などに特化した言葉で)

ツイートでも述べられている『家虎』の他にも、『声豚』(マナーの悪い声優ファン)『萌え豚』(マナーの悪い萌えファン)『陰キャ』(陰気なキャラクター)『キモオタ』(気持ち悪いオタ)等…。

悪い言葉の方は、聞いただけでイラついた感覚になったと思う。(そのため、文字の大きさや、色・太さなどを変えなかった。)今回サンプルとして使ったが、これらの言葉ににイラついた人は、正常な感覚ということになる。
こういう事を自分たちで考えさせる事も大事になってくる。
例えば『陽キャ』とい言葉も『陰キャ』を思い起こさせる対比になってしまうので、使わないようにする。(筆者自身の考え)

前述の『褒める』同様、これも日頃から意識させる事が大切になってくる。


菊池省三メソッド3・『写真を活用する』

ライブ開始前の様子なども、写真などに撮る。

グッズ販売の行列にきちんと並んでいるとか、きちんとゴミを捨てているとか、些細なことでも写真に撮って公表する。(イベント参加者にはあらかじめ、会場の様子などを公開することはイベントに参加する時点で通達済み。)
ライブ開始前に公表して、その『きちんとした行動』を褒めるのもいいと思う。
後日広報誌やブログなどに掲載したりもする。褒め言葉なども付けて。

『しっかり自分たちのことを見てくれているんだ』という気持ちになり、自信がつけられる。そんなメソッド。そして『誰かに見られている』という心理効果により、迷惑行為や逸脱した行動などを防ぐ事も期待できる。

筆者が考えるに、毎年夏と冬に行われている『コミックマーケット』には、この効果が大きく影響している所があると考えている。

コミックマーケットは、毎回50~60万人・3日間開催とすると、一日に20万人が集まる。
そんな中、テレビなどで紹介される様子は、開場前の『大行列』だ。
コミケに行ったことのない人も一度は見たことはあるかもしれないが、ものすごい(なんてもんじゃない)大行列ができる。しかもその中、夏は暑い中、冬は寒い中、何時間も待っていなければならない。はっきりいってメンタルも壊しかねない。
しかしそんな大行列、みんながきちっと列をなして、足並みをそろえて歩く。和を乱す人はほとんどいない。

その様子をテレビで見て、驚愕する人も多い。

このような事がメディアで紹介される事、そしてきちんと行列している事を評価される事により、前述したように『そのように見てくれている』という自信に繋がり、また『誰かに見られている』という心理、及び周辺との『同調効果』により、和を乱す人もいなくなる。

コミケに限らず、このような流れを作ることは、マナー向上の上で重要になってくると思う。
一回や二回のイベントで効果が出なくても『継続』することで、次第に効果が現れる事だろうと筆者は考えている。


次は筆者自身の考案となる。

筆者の考案・『マナーテスト』

会場内のマナーとか言っても、マナー自体知らなかったり、そのマナーの意味なども理解していなければ意味がなくなってしまう。
そこで、イベント会場に入る前に、マナーなどを中心としたテスト問題を行うのはどうだろうか。
採点をしやすいようにマークシート方式で、問題・解答用紙・参考書的な小冊子などをライブチケットと共に配布する。(ネット配布も可)
参加者はあらかじめ答えを塗りつぶしたマークシートを持参して、入場ゲートの所で解答用紙を提出し、合格点を取れたら会場内に入場できる。
(出演者・スタッフ達もこのテストを行う。昔放送された某クイズ番組の筆記テストのように。)

合格点を取れなくても、追試用のスペースを用意して、リトライできるようにする。
一度失敗しても、何がいけなかったかを見つめ直す事…単に問題の答えがわからなかっただけでなく、マークシートを汚してしまった、答えが一段ずれていた等という可能性も考えられる。
これが受験だったらリトライまで1年待つ事になるが、ふるい落とすことが目的のテストではないので、リトライは何度でもできるようにする。
それを見つめ直して合格し、イベント会場に入れたらそれも脳の活性化に繋がることだろう。

そして会場内に入ったら、この問題の答え合わせを兼ねた、マナーの復習をする。
音声だけではなく、映像や、出演者の身ぶり手ぶりなど、視覚にも訴えるといいと思う。
この会場内にいる人は全員、マナー問題のテストに合格した人なので、自信を持った状態でマナーを復習できる。

『同調効果』(*2)

最後は『マナーテスト、合格おめでとうございます。きちんとマナーを守って楽しんでください』でしめる。
参加者達の『同調効果』、みんなでマナーを守ろうという気持ちを共有できる。マナー違反や逸脱した行為などを防ぐことも期待出来る。
マナーを守る為には、このような心理学的な要素を利用する事も必要になってくる。


また、物事を注意する時にも、できるだけ否定形ではなく、肯定形を使うといいと思う。
携帯電話、スマートフォンを例にとると、
『会場内では携帯電話、スマートフォンは使ったり出したりしてはいけません
よりも
『会場内では携帯電話、スマートフォンは電源を切るか機内モードにして、しまっておきましょう
よく言われるとおり、人は『するな』と言われると、その行動をしたくなるものである。
よってこのような物事は、なるべく肯定形で話すのが効果があると思われる。
全てを肯定形で話すのは無理かもしれないが、できるだけ肯定形で話すのはどうだろうか。

次は街などの犯罪抑止のために使うメソッドの応用を提案する。

『割れ窓理論』(*3)

街の中において、建物の窓が割られているのを放置しておくと、そこからだんだん治安が悪くなり、大きな犯罪へと繋がってゆく。
その地域に住民が関心を払っていないためだ。

かつて『犯罪の温床』と言われたニューヨークの地下鉄を、デザインの力で大幅に改善させた人物がいる。(*4)
デザインの力で、落書きや器物破損など、迷惑行為や比較的軽い犯罪をする気持ちをを防ぐ。そしてそれに伴って、強盗や殺人など、大きな犯罪も減少する

ささいな問題点も放置しておくと、それがより大きな問題、迷惑行為や犯罪などにもつながってしまう。
前述したコミケの行列とは逆の現象になってしまう。
だから『割れ窓理論』に基づき、会場内のささいな汚れやゴミなど、小さな問題点もこまめに綺麗にしたりする。
こうすることで、より大きな迷惑行為などの可能性を下げることが出来る。

『割れ窓理論』の実効性には批判的な声もあるが、考えうるあらゆる手段を用いるとなれば、こういった事も必要になってくる。
もちろんここでも『褒める』という方法は有効だと思われる。会場内のスタッフ同士でも『OK』とか『GOOD』とか言い合うことで、モチベーションをあげる事も大切になってくる。
イベント参加者のゴミのポイ捨てなど、比較的些細な違反を注意した場合、その後きちんとゴミ箱に捨てたり、きちんとした行動を取ったら笑顔で『GOOD』と言って、その行動は正しいことを認める。前述した『褒める』もきちんと併用する事が必要。




自信を持たせる・誰かが見ている・同調効果・場所への関心…

筆者自身の提案も含めた、いくつかの方法や理論などを提案してみた。
これ以外にも短期的・長期的なメソッドや、様々な理論などもあることだろう。イベント単位で行うのは難しい、もっと大規模な方法などもある。

『未然に防ぐ』努力をする事が大切。

未然に防ぐ事に全力を尽くすのなら、木谷高明氏の発言にも説得力が出てくる。

様々なメソッド、心理学、脳科学など、考えうるあらゆる可能性をもってして『覚悟』を持って取り組むこと。

前述したように、すぐに効果がでるかもしれないし、効果が出るまで時間がかかるかもしれない。
しかし『覚悟』を持って、考えうる様々なメソッドを『継続』する事が大切だと思っている。

真の勝利に近道はない。



今回は『イベント単位でできる事・やるべき事』をあれやこれやとまとめてみた。

次回はさらに踏み込んで、長期的な対策・『声優・アイドルとそのファン達が共に楽しみ、共に成長する』というコンセプト・そしてそれを実現するための『新しい組織の必要性』などについてお話したいと思う。

必要なのは『覚悟』


To Be Continued
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参考にしたサイト等


(*1)
菊池省三 オフィシャルページ
世界一受けたい授業 2015/12/05放送分
プロフェッショナル 仕事の流儀 2012/07/16放送分
(*2)
心理学ミュージアム

(*3)
割れ窓理論 Wikipedia

(*4)
宇多川信学
WikiPedia
INTERGATE
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